とくになし

読んでください

現実と夢──シャーウッド・アンダーソンにおける性のコード

※昨年の英米文学とLGBTの講義で提出したレポートに加筆修正を加えたものです。 シャーウッド・アンダーソンの『ワインズバーグ・オハイオ』において、短編「手」(Hands)は「グロテスクな人々の本」を除いた最初の短編である。同性愛者(・小児性愛者)として…

青春クィア映画における「ずらし」の戦略──『ハーフ・オブ・イット』(2020)と『Love,サイモン』(2018)

*昨年のアメリカ現代映画の講義に提出したレポートに加筆修正を加えたものです。 ── 近い時期に制作・公開されたこの2作品は、両方ともティーンの恋愛を描いた、Coming of Ageもの青春映画である。しかし二つの映画には、『キャロル』(2015)がメロドラマ…

レダと白鳥と「女が悪い」言説──『MEN 同じ顔の男たち』感想

『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランド監督、『Men 同じ顔の男たち』を見た。ネタバレあり。 ・ジェシー・バックリー演じる女性ハーパーは、とある郊外の館をひとり訪れる。モラハラ気味の旦那(カニエ・ウェスト似)が目の前で飛び降りて死んでしまっ…

アリス・ウォーカー「誰のものにもならないで」

アリス・ウォーカーの「誰のものにもならないで」(Be nobody's darling) 葉月陽子訳『続・母の庭を探して』の「誰のものにもならないで」より。初出は詩集『革命的なペニチュア』から。 「寄る辺ないままでいなさい」の原文が気になったので、原文と自分の…

【追記あり】『ブーリン家の姉妹』(2008)のアンドリュー・ガーフィールドについて

『ブーリン家の姉妹』(2008)にアンドリュー・ガーフィールドは登場しない。 正確には、編集過程で登場シーンをすべてカットされたということらしい。唯一アンドリューの名前が出ているエンドロールによれば、Francis Weston(フランシス・ウェストン)とい…

フェミニズム映画としてはあんまり上手くないのではーー『ガンパウダー・ミルクシェイク』感想

※ネタバレあり カレン・ギラン主演のガールズアクション。カレン・ギラン演じるサムは、娘の元から姿を消した母スカーレット(レナ・ヘディ)の後ろ姿を追いかけるように、ファームという男たちの組織の中で駒として人を殺して生きている。ファームの金を盗ん…

Mornig Song 翻訳

シルヴィア・プラス『モーニング・ソング』の翻訳です。テクストはここから https://www.poetryfoundation.org/poems/49008/morning-song-56d22ab4a0cee 生まれてきた赤ちゃんについての詩。 Love set you going like a fat gold watch. The midwife slapped…