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【追記あり】『ブーリン家の姉妹』(2008)のアンドリュー・ガーフィールドについて

『ブーリン家の姉妹』(2008)にアンドリュー・ガーフィールドは登場しない。

正確には、編集過程で登場シーンをすべてカットされたということらしい。唯一アンドリューの名前が出ているエンドロールによれば、Francis Weston(フランシス・ウェストン)という役を演じていた。

ネット上を探しても出てくるのはこの画像1枚のみ。(IMDbより転載)

Scarlett Johansson, Jim Sturgess, and Andrew Garfield in The Other Boleyn Girl (2008)

史実でのフランシス・ウェストンは、アンとの不倫とソドミーの罪で訴えられ、兄ジョージと同時に(他数名とともに)処刑された、ヘンリー8世の枢密院のメンバーであり王とも親しい友人であった(wiki情報)。

2001年に出版された原作では、ジョージはフランシスに熱を入れあげていて、セクシュアルなシーンも多くあるらしい(未読)。(原作ではジョージはアンともヤってるらしいので、別物といえばそうなのだが…)

2006年段階の脚本にはきちんと登場シーンが書かれていた。台詞はないが、どんな役だったのか気になる!という人のために、フランシスの名前が登場するシーンを書き留めておく。スクリプトhttps://imsdb.com/scripts/Other-Boleyn-Girl,-The.html参照。訳はちょっと短縮してたりするので、できれば自分で確かめてほしい。またフランシスの名前が出てくるシーン以外のところはきちんと読めていないので、後からまた追加するかも。さらっと読んだ感じ、時系列がいじられているところはありそう

 

 

はじめにフランシスが脚本上で登場するのは、ヘンリー8世のお城で催される仮面舞踏会のシークエンスだ。

SIR THOMAS BOLEYN stalking the party. Ever watchful. On duty. Vigilant. He is distracted by the sight of... His son, GEORGE BOLEYN, surrounded by FRANCIS WESTON and his FRIENDS.GEORGE is clearly in his element. Laughing in delight. Very fond and intimate with FRANCIS WESTON..
用心深くパーティを見張っているサー・トマス。彼は己の息子…ジョージ・ブーリンがフランシス・ウェストンやその友達に囲まれている光景に気を取られる。ジョージは明らかに気安い様子で、楽しそうに笑っている。フランシス・ウェストンと親密な様子だ…

トマス・ブーリン(アンたちのお父さん)が舞踏会で子供たちに目を光らせる中、フランシスとジョージの親密さに父は引っ掛かりを覚える。

続いても似たようなシーンがある。メアリからヘンリーと肉体関係を持ったという話を聞きながら、息子がボーイフレンドと親密なのについ気を取られるお父さん。

GEORGE and FRANCIS WESTON return from riding together. The sound of laughter as they dismount, and hand their horses to the stable-boys.. SIR THOMAS watches as GEORGE and FRANCIS walk back to the palace together. There's something in their manner, the intimacy between them..
ジョージとフランシス・ウェストンが相乗りから戻ってくる。馬から降り、それぞれの馬を馬丁の少年たちに手渡しながら響くあの笑い声…サー・トマスはジョージとフランシスが共に宮殿に歩いて戻るのを見る。彼らの様子や親密さには、何か気になるところがある…

ジェーン・パーカーとの結婚は、フランシスとの親密さを目の当たりにした危機感というバックグラウンドがあった。しかし、そんなこんなて無理やり決められたジョージの結婚式にもフランシスは登場する。

A formation dance is in progress. At the centre of it: GEORGE dances with a radiant, triumphant JANE PARKER. GEORGE's eyes meet those of FRANCIS WESTON across the room.
フォーメーション・ダンスが進行中。中心には、晴れやかに勝ち誇った顔のジェーン・パーカーと踊るジョージ。ジョージの目が、部屋の向こう側のフランシス・ウェストンのそれと合う。

個人的にこのシーンが一番好き。ジョージの結婚式で、ジェーンと踊りながらこっそり目を合わせる二人。見たかったなー!

 

このあとはしばらくフランシスの名前は登場せず、後半になってアンの2人目の妊娠を祝うパーティの席で、メアリの夫ウィリアム・スタフォード(ベネディクト・カンバーバッチ)が逃げたというジョージとメアリの会話のシーンで、フランシスがジョージと一緒にいることが書かれている。この会話は物語にとって重要ではないかと思うのだけどカットされているということは、やっぱりフランシスの登場シーン、つまりジョージのフランシスとの同性間ロマンスというサブプロットはまとめてカットするという意向(必要?)があったのだと思う。

そしてフランシスと行動を共にするジョージを見て、結婚に失敗した!と絶望するジェーンの姿。

その後は本編と同じ、流産し危機感を抱いたパドメ……じゃなかった、アンがジョージとの性交渉を求め、それをジョージの妻ジェーンが目撃してしまう。あれという間に二人は罪に問われる。史実ではフランシスもここで処刑されるが、どうやらこの脚本はそこまでは踏み込まず、処刑されるジョージを見つめるフランシス、というところで彼の出番は終わっている。

脚本の時点でもフランシスにセリフはなく、本筋にも関連しないといえばしない。だけどアンドリューのファンとしては見たかったよー!2008年ごろといえばソーシャル・ネットワークやわたしを離さないでよりもさらに前、ドクター・フーにゲスト出演していたのが2007年だからそのあたりだ。撮影期間は知らないけれど公開時期的にはBOY Aとレッド・ライディングの間。何がいいたいかって、20代のアンドリュー・ガーフィールドは大変にカワイイので後世のためにも映像を残すべきだ。

YouTubeなどでみつかる削除シーンをみても今のところアンドリューは見つけられていない。残念だ。見かけたら教えてください。

 

 

※2022/12/23 追記

最近(といっても5月)BBCラジオ1のインタビューで、Ali Plumbとの会話のなかで『ブーリン家の姉妹』について言及していたことに気がついた。インタビューはここで聞ける→https://t.co/0H5W9XK1oT (5分あたり)

要約すると

 

・ジム・スターとの情事をめぐるサブプロットがあったんだけどなぜか最終版にはまるまる残らなかった

・初めての映画の現場。ずっとジムスターとスカヨハを見てるだけの仕事。エディ・レッドメインも一緒だった

・セットに向かう車の中で憧れのマーク・ライランスと一緒だった時間が地獄だった

 

とのこと。ばかばかしいコスチュームきてセットにいるのは場違いに思えたというほんとうにド新人のときだったんだな。ド新人だから簡単にカットされちゃったんだろうけど。しかし見たかった。映像はどこかに残っていないのか!?